保護者への“強制”防止へ…学童の「野球離れ」を問題視 連盟が異例の通知回すワケ

「今までやってきたは通用しない」全軟連が野球人口減少に危機感

 学童野球で保護者の負担は議論となっている。送迎や練習の補助といった保護者の当番制は長年、チームの“常識”となっていた。しかし、時代の移り変わりで、共働きの家庭やひとり親の家庭が増え、休日の過ごし方も変化。チームのサポートが難しい保護者や当番制に否定的な保護者もいる。小林専務理事は「半強制的な形で保護者に練習参加を求めるチームは少なくありません」と明かす。

 負担の大きさに悩む保護者の相談は数年前から増え、全軟連では各支部と連携して個別に対応してきた。「保護者の過度な負担はチームが良い方向に進まなくなる」と伝えてきたが、同様の問題は全国各地で起きていたことから異例とも言える「通知」の形を取った。小林専務理事は言う。

「子どもたちが野球を楽しく続けられる環境をつくるのが私たちの役目です。歴史のあるチームほど変化が難しい傾向にありますが、『今まではやってきたから今もこれからも問題ない』というチーム運営は通用しません。保護者の負担が大きくなればチームに良い結果をもたらさないと指導者や保護者に周知する意図で、今回の通知に至りました」

 全軟連が行動を起こした背景にあるのは、深刻な野球人口の減少だ。少子化のペース以上に、競技人口は減っている。小林専務理事は「保護者の過度な負担が原因で、選手がチームを辞めざるを得ないケースもあります」と話す。学童野球の子どもたちに保護者のサポートは不可欠。その保護者がチームの課す役割が重荷になって耐えられなくなれば、子どもと一緒にチームを離れる。野球が好きなのにあきらめるしかない子どもたちに、大人は何を感じるだろうか。

(間淳 / Jun Aida)

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