「振るな、止まれはいつでもできる」 5度日本一の中学強豪、独特な手法で養う積極性
中日・高橋周平ら輩出の「湘南クラブボーイズ」は積極性重視で選手育成
積極性が選手を成長させる。5度の全国制覇を成し遂げている神奈川の中学硬式野球チーム「湘南クラブボーイズ」の田代栄次監督が26日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のイベント「日本一の指導者サミット」に出演。初球から、どんな球も打ちにいく意識の重要性を説いた。
常識を覆す言葉が次々と飛び出した。「ワンバウンドでも打ちにいく」「1イニング3球で終わることもある」「あまり球を見ないつもりでスイングする」。中日の高橋周平内野手や小笠原慎之介投手の出身チームとしても知られる湘南ボーイズ。チームを率いる田代監督は積極性を重視した選手育成を掲げている。
「打撃であれば1球目から、しっかりと振っていく意識が大事です。ストライクを振って、ボールを見逃す考え方を変えて、どんな球でも打ちにいくように繰り返し伝えています」
田代監督は悪球打ちを指導しているわけではない。ボール球を見極めて、安打の確率が高いストライクをスイングする打撃を理想としている。ただ、中学生の段階でストライクだけを強くスイングする技術を身に付けるのは難しい。そこで、初球からバットを振るところからスタートしている。
「どんな球も打ちにいって、バットが届かない投球は振らないというくらいの意識です。大事な試合でバットを振りにいくことは一番時間がかかると思っています。強くスイングする意識付けと身体能力を上げる練習が中学生には重要だと考えています」
積極性磨くエンドラン…ゴロを打つ意識は不要
初球からバットを振ることは簡単そうに感じるが、意外と時間がかかるという。田代監督はワンバウンドを空振りしても問題ないと選手に伝え、失敗を恐れない雰囲気づくりを心掛けている。器用なタイプが多い右投げ左打ちの選手には、強く引っ張って一、二塁間への強い打球や右翼フライを打つように指導。走りながら打って内野安打をかせいだり、左翼前に落としたりする器用な打者ではなく、積極的に強くスイングする打者を育成している。
積極性に重点を置く指導は走塁でも同じ。田代監督は、盗塁や牽制によるアウトを注意しない。たとえ暴走と言われる走塁でも、次の塁を狙ってアウトになったケースは何も言わないという。「打撃で振るな、走塁で止まれというのはいつでもできます。選手が消極的になる言葉は避けています」と説明する。
積極性を磨くために、よく使う戦術がエンドラン。打者は基本的にどんな球も打ちにいくため積極的になる。走者も次の塁を狙う意識が強くなる。エンドランではライナーや飛球は“失敗”と捉えられるが、田代監督は選手にゴロを打つように求めていないという。
「エンドランでは、しっかりバットを振る意識を徹底しています。それでも、新チームがスタートした時期は半分くらいの選手はボール球に手が出ません。ゴロを打つために上から叩くように言うと球の下にバットが入ってフライになりやすいので、ゴロにしたいのであれば手首を返す打ち方を伝えています」
バットを振らなければ、得点のチャンスもヒットを打つ喜びも生まれない。積極性が選手の育成とチーム力の強化につながっている。
9月29日(金)まで、まだまだ申し込み受付中!
Full-Countと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では9月27日から29日までの期間、午後8時から(27日は午後9時から)オンラインイベント「日本一の指導者サミット」を開催。最終日の29日まで参加申し込みは可能。
【日本一の指導者サミット・詳細】
https://first-pitch.jp/article/news/20230902/5374/
【参加はTURNING POINTの無料登録から】
https://id.creative2.co.jp/entry
(間淳 / Jun Aida)
球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。
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