父の球歴は中学まで「ブラッシュアップ必要」 SNSで人気、“小学球児”が成長できた理由
捕手、投手、打者の三刀流で注目を集めるインスタグラム「issei.k_baseball」
4歳から真剣に野球を始めると、どこまで成長できるのか? 関西在住の父親と息子が二人三脚で成長記録を綴るインスタグラムのアカウント「issei.k_baseball」が、野球ファンの間で人気を博している。技術向上のために全国を駆け巡る親子に迫った。
連日投稿される動画は小学生とは思えないものばかり。野球少年を持つ保護者たちは、issei親子が日々繰り広げる練習風景に目を奪われる。レベルの高いプレーに、周囲は野球エリートの父が息子を指導する構図を思い浮かべてしまうが、実際はそうではない。
issei君の父の球歴は中学生まで。当時、学んだのはいわゆる“昭和の野球”。ボールは上から叩け、フライを上げるな……など現在とは正反対の理論を叩き込まれた世代だった。大人になり、再び草野球で選手として復帰したが、「当時の指導を思い出してやってみても全く打てない。教えてもらったマインドは役立つが、技術的にはブラッシュアップしないと無理だな」と、野球理論の進化に驚愕したという。
それからはソフトバンク・近藤健介、オリックス・西川龍馬らの自主トレにも帯同した、野球スキルコーチ・菊池タクト氏のYouTube動画を参考に、一から野球を学んだ。すると、徐々に結果が出るようになり、改めて指導の大切さを実感。ちょうど、その時期にissei君が野球を始めたこともあり、選手を“引退”しサポート役に転身した。
「私自身が“実験台”としてやってきたので、古くても新しくても、良いと思うものは取り入れようと。技術的なものは合う・合わないがあるので、そこは子どもの感覚に任せています。それだけの(学ぶ)価値があるものなら全国どこでも行きます。大変は大変ですが、充実した日々を過ごせています」
SNSで繋がった同学年のコミュニティで試合を開催「高学年にも負けない内容」
小学3年生のissei君が魅せるプレーは本物だ。「一番好きなのは捕手。僕だけ違う向きからグラウンドを見られる。試合を動かせることが好き。将来はメジャーリーグで活躍することが夢です」と、志は高い。捕手ではブロッキング、フレーミング、強肩を生かした二塁送球を身に付け、投手では100キロを計測する速球を投げ込む。打者としても、小学生3年生の平均を大きく上回るスイングスピード113キロをマークする。
SNSを発信し続けたことで、同世代のコミュニティも生まれた。全国の小学生球児、保護者たちと情報交換を行い、最終的には同級生だけの試合を開催。1年目は40人、2年目は60人と、参加者は増え続けているという。
「学年、年齢の兼ね合いで試合ができない子どもが多い。低学年でも『ここまでできるんだ!』と思う親子は沢山いました。実際に試合をやれば、高学年にも負けない内容でレベルの高さを実感しました。成長の記録として始めましたが、これもSNSの醍醐味です」
上達する一番の近道は、やはり日々の練習。数ある野球理論のなかで自身に合うものを取捨選択し、基礎的なトレーニングも欠かさず行う。「成功している人ほど、数えきれない努力があるはずです。すぐに結果は出ない。毎日の積み重ねが大事だと思っています」。親子の挑戦はまだ始まったばかり。夢を叶えるため、これからも歩みを止めることはない。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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