「打球が遠くに飛ぶ」力逃さない構え方とは? “バットなし”で固める理想的フォーム
小・中学生への指導歴15年超…下広志氏は打撃で構え方を重視「動作は全て連動」
全ての動きはつながっているため、スタートが特に大事になる。東京都内で野球塾「Be Baseball Academy」を運営する下広志さんは、打撃指導で“構え”を大切にしている。股関節、膝、足首が「直列」になる形が重要で、バットを使わずに構えを固めるトレーニングを勧めている。
プロ野球選手を見ると、それぞれが打席で全く違った構え方をしているように見える。ただ、地面からの力を最大限利用してスイングしている打者には、共通点がある。小・中学生を中心に15年以上の指導歴がある下さんは、構え方の大切さを説く。
「構えてから軸足に体重を乗せてステップする、というように打撃には動作の順番があり、全てが連動しています。最初の動きができていないと次につながらないので、構え方は非常に重要です」
下さんは構え方のポイントとして、股関節、膝、足首の3か所が「直列の関係性」になることを挙げる。股関節を適度に曲げて3か所を直列に保てると、足に力が入り、太ももの裏に軽く伸びる感覚があるという。一方、膝が内股やがに股になったり、膝が前に出過ぎたりすると、直列の関係が崩れて力が逃げてしまうと指摘する。
ケトルベルを持ち上げて“体が支えやすい”姿勢を探っていく
理想の構え方を身に付けるために提案するのが、「ケトルベル」という筋力トレーニング器具を使ったドリル。中学生には8キロの重さを推奨している。ケトルベルの代わりにダンベルを使っても良い。まずは、ケトルベルを胸の前で持ちスクワットをする。シンプルな動きだが、股関節、膝、足首を直列に保って膝を曲げるように意識する。
もう1つのドリルは、右打者の場合は右手(左打者は左手)でケトルベルを高く上げ、打撃の構えの形をつくるもの。体を揺らしながら、最も体を支えやすい姿勢を探していく。内股やがに股になったり、頭が前に突っ込んだりするなど、足に力が入る構え方ができないと、ケトルベルを右手で支えるのが苦しくなる。
打球を遠くに飛ばすには、下半身を使って地面からの力を上半身に伝えていく動きが大切になる。構えの段階で足に力が入らなければ、体重移動やステップにも力強さが発揮されない。理想の打撃は構え方から始まる。
(間淳 / Jun Aida)
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