“本塁打狙いたがる”小学生をどう統率する? 世代別指導でこだわる「勝つための“1”」

武蔵府中リトルの練習の様子【写真:チーム提供】
武蔵府中リトルの練習の様子【写真:チーム提供】

4度の日本一…小学硬式野球・武蔵府中リトルは「相手の優位に立つ」指導を徹底

 全国大会の“常連”は、明確な育成方針を掲げ選手をサポートしている。2023年に全国制覇を成し遂げた小学生硬式野球チーム「武蔵府中リトルリーグ」(東京・府中市)は、3つのカテゴリーに分別し練習を行っている。Full-Countでは小学生・中学生世代のカテゴリーで日本一を成し遂げた監督に取材。廣岡東陽監督に現在の指導方針を聞いた。

 武蔵府中リトルは1973年に創立され、ここまで全国制覇7度(選抜、選手権を含む)を誇る名門チームだ。年代別にジュニア(幼稚園年中~小3夏)、マイナー(小3夏~小5夏)、メジャー(小5夏~中1夏)と分かれており、各部門に応じた練習を行っている。

 ジュニアはティー台にボールを置いてプレーする試合形式を取り入れるなど、まずはボールを打つ、投げる、捕るの基本からスタート。基礎練習を積み重ねていき、学年が上がるにつれて技術を覚えていく。成長する過程が明確だからこそ、毎年のようにスキルの高い選手が生まれていく。

 昨年の「全日本リトルリーグ野球選手権大会」では、10年ぶり4度目の日本一を達成。その前年は開会式直前に新型コロナウイルスの感染者が続出し出場辞退。悔しい思いをした先輩たちの思いを胸に、野球ができる喜びをグラウンドで体現してみせた。

4度の日本一を誇る武蔵府中リトル【写真:チーム提供】
4度の日本一を誇る武蔵府中リトル【写真:チーム提供】

打撃、守備、投球など全ての面で“1”にこだわる

 目標は常に高い。廣岡監督は「チームとしては世界大会優勝を目指している。そうじゃなければ全国大会、日本一もできない。どこにも負けない部分では徹底力だと思います」と口にする。試合になればチームプレーを大切にし、“勝つための1打席”をナインに浸透させた。

「もちろん、ホームランは打ちたい。ですが全員がやりたいようにやると統率もできない。『試合はバッティングセンターじゃないぞ』と。状況においては逆方向、追い込まれたら三振をしない。打撃、守備、投球など全ての面で“1”にこだわっていく野球です」

 打者ならファーストスイング、投手なら初球、守備なら1アウトなど。全てのプレーで相手より優位に立つため、練習の段階から大舞台を想定するのが武蔵府中リトルの野球だ。「まずは先制点を取ってチームを落ちつかせる。逆に先制されると本来の守りもできなくなる。攻撃では必ず先手を取るようにしています」と、アグレッシブなプレースタイルで勝負する。

 初心者や低学年から、やりこむ基礎練習が糧となり、ナインは共通認識を持ち試合に挑む。「1人の能力が高くても日本一は取れない。選手もですが、監督を支えてくれる指導者、スタッフに恵まれていることが大きい」。廣岡監督は今月21日からの「日本一の指導者サミット」に出演予定。小学生球児の育成法を余すところなく披露してくれる。

2023年に4度目の日本一…武蔵府中リトルの指導・練習法を紹介!

 Full-Count、First-Pitchと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、今月21日から5夜連続でオンラインイベント「日本一の指導者サミット2024」を開催します。小学生・中学生の各野球カテゴリーで全国優勝経験がある全11チームの監督を招き、日本一に至るまでの指導方針や独自の練習方法について紹介していきます。参加費は無料。登場予定チームなどの詳細は以下のページまで。

【日本一の指導者サミット2024・詳細】

https://first-pitch.jp/article/coaching-methods/20240930/8628/

【参加はTURNING POINTの無料登録から】

https://id.creative2.co.jp/entry

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

少年野球指導の「今」を知りたい 指導者や保護者に役立つ情報は「First-Pitch」へ

 球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。

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