「アウトのなり方」次第で得点力アップ 強豪小学生チームが実践する“考える走塁”
武蔵府中リトルは伝統の“走塁”で相手に重圧…得点に結びつける
伝統的な“考える走塁”で、相手にプレッシャーを与え続ける。小学生硬式野球チーム「武蔵府中リトルリーグ」(東京・府中市)は、ノーヒットでも得点能力を上げる走塁を伝統としている。Full-Countでは小学生・中学生世代で日本一を成し遂げた指導者に取材。2023年に日本一、世界大会にも出場した廣岡東陽監督に話を聞いた。
武蔵府中リトルは2023年に「第57回全日本選手権」で優勝し、同年に行われたリトルリーグのワールドシリーズにも日本代表として派遣された。春夏含め、ここまで7度の全国制覇を果たした名門の強さはどこにあるのか。廣岡監督は「素晴らしいコーチ、選手に恵まれている」と謙遜しながらも、「先輩たちの姿を見ながら、走塁に関してはどこにも負けないよう徹底している」と口にする。
走塁といっても足の速い選手が、グラウンドを縦横無尽に走り回るだけではない。アウトのなり方まで重視し、相手のわずかなミスで得点を狙いにいく。例えば無死二、三塁で打者が平凡なゴロを打っても、走者はスタートを切り三本間で挟まれ、再び1死二、三塁の形を作るという。
「本来なら一塁転送の1プレーでアウトになる場面ですが、挟まれることで、守備側は送球の選択肢が増える。ここで少しでもミスすれば1点。ミスが起きなくても二、三塁と同じシチュエーションを作れます。簡単なことではないですが、いかに相手の守備機会を増やせるか。リトルリーグならではの駆け引きかもしれません」
練習の段階から選手たちは、一歩先の塁を狙う意識を持ち、そのための準備も怠らない。相手守備位置を常に確認し、走塁イメージを持ちなら試合に挑んでいる。
リトルリーグはベンチ入り全員が打順に入る「全員連続オーダー制」採用
リトルリーグでは2023年から、最大14人のベンチ入りメンバー全員が打順(打撃オーダー)に入り、打席を経験する「全員連続オーダー制」が採用された。元々「全員出場義務」という条件はあったが、シンプルになったことで指導者、審判員の負担が軽減され、子どもたちにもより多くの出場機会を与えることが可能となった。
走塁面と同じく、打撃面も高く評価される武蔵府中リトルにとって、“新ルール”も大歓迎だ。ジュニア時代(幼稚園年中〜小4)から打撃に特化した練習を行っており、体の成長と共に強打の選手が多く生まれるのが特徴だ。様々なコース、角度から打つティー打撃や、選手の力量に合わせて中学シニア用のバットでのロングティーなどを取り入れている。
「リトルリーグはマウンドからの距離(14.02m)が短いので、まずストレートを打てないと難しい。打撃練習に関しても色々な方法を取り入れ、対応能力をつけることが大切。試合になれば打ちやすいコースに投げてくることはない。変化球もありますが、うちのチームはスピードに対応できる打者は多いと思います」
走塁と打撃で全国屈指の強豪チームを率いる廣岡監督は、今月21日からの「日本一の指導者サミット」に出演予定。全国で勝ち切る戦術、子どもたちの育成論は多くの指導者たちの参考になるはずだ。
2023年に4度目の日本一…武蔵府中リトルの指導・練習法を紹介!
Full-Count、First-Pitchと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、今月21日から5夜連続でオンラインイベント「日本一の指導者サミット2024」を開催します。小学生・中学生の各野球カテゴリーで全国優勝経験がある全11チームの監督を招き、日本一に至るまでの指導方針や独自の練習方法について紹介していきます。参加費は無料。登場予定チームなどの詳細は以下のページまで。
【日本一の指導者サミット2024・詳細】
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(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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