低反発バットで“叩きつけろ”は「上で通用しない」 小中学生から求めたい“体幹主導”
大阪桐蔭元主将の廣畑実代表は“飛ばないバット”でも「飛ばす感覚の習得が重要」
小手先だけのバッティングを続けていては、打撃向上は難しい――。高校野球をはじめ、打球が飛びにくい“低反発バット”の導入もあり、戦い方が一変する可能性も出てきた。そんななか、大阪桐蔭高元主将で野球塾「Amazing」の代表を務める廣畑実さんは、「小さくまとまる必要はない。将来を見据え、体全体を使うスイングをしてほしい」と、子どもたちにアドバイスを送る。
高校野球では2024年春から反発力を抑えた、新基準の低反発バットに完全移行した。その結果、選抜大会では金属バットが導入された1975年以降、最少記録となる3本。選手権大会でも最少記録の7本に減少した。長打や得点力が目減りし、必然的に“守り合い”の野球が求められるようになった。
甲子園を目指し、勝利を最優先するには“スモールベースボール”も1つの手だが、廣畑さんは「WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)でもパワーと技術の野球で日本は世界一になった。ですが、これで『打球を上げるな、叩きつけろ、ゴロを転がせ』といった野球に戻ると、世界で通用する選手は生まれてこない」と警鐘を鳴らす。
学童野球でも来年から高反発バットの使用が制限されるが、たとえバットが替わって打球の飛距離が落ちたとしても、「“飛ばす感覚”を知らないと上のレベルで野球を続けるのは難しい」と指摘する。野球の基礎を身に付ける小・中学生の段階から、「当てにいく」打撃ではなく、体を大きく使ったスイングを習得する必要があるという。
小・中学生の「体幹主導のインサイドアウト」習得には“ロープバット”がお勧め
全身を使って飛距離を伸ばすために重要となるのが、体の捻転動作。体幹を使ってスイングする形が理想だ。腕やバットだけを内側から出す「手打ち」ではなく「体幹主導のインサイドアウトを身につけてほしい」と廣畑さん。イメージとしては鞭のような“しなり”を作り、バットのヘッドがインパクトまで返らないことだという。
その感覚を身に付けるのに役立つのが、ロープ状のバットを使っての練習だ。「体幹を使わないとまともに打てません。バットが体に巻きつく感覚が自然と身に付きます」。廣畑氏が手がける野球ギア「SNAKE BAT」も85センチの“ロープバット”で、置きティーなら実打も可能。体全身を使ったインサイドアウトのスイングを体感できる。
子どもたちを育成する指導者に向け「可能性を狭めた状態からスタートすると、選手は大きく育たたない。バットを振る力は全員必要」と力説。子どもたちの可能性は無限大。廣畑氏は培った技術、理論と野球ギアを駆使し、将来の野球界を担う選手を育成していく。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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