小学4年生で目指す“完成形” 少年野球界で最も有名な監督が掲げる次なる野望

多賀少年野球クラブの辻正人監督【写真:間淳】
多賀少年野球クラブの辻正人監督【写真:間淳】

多賀少年野球クラブ・辻監督「壁にぶつかった時が楽しい」

 滋賀・多賀町で活動する少年野球チーム「多賀少年野球クラブ」は「世界一楽しく! 世界一強く!」を掲げて2年連続で日本一に輝き、8月に開催される全国大会に今年も出場する。チームを率いる辻正人監督の連載、最終回は「次のビジョン」。今より2年早い小学4年生で“多賀野球”を体現できる選手を育てる、東京でチームを率いる――。常に壁を探し、歩みを止めることはない。

 多賀少年野球クラブは、今年も全国大会に出場する。20歳でチームを立ち上げた辻監督は、今年が34年目。2018、19年に全国大会を連覇し、教え子には楽天・則本昂大投手の他にも多数の甲子園球児がいる。指導者として、これ以上ない実績を残した。だが、いつも新しい壁を探している。

「練習の視察に来る他のチームの指導者さんに困っていることを相談されますが、『それが楽しいんじゃないですか』と言ってしまうことがあります。壁にぶつかった時が楽しいんです」

 壁にぶつからなければ、自ら壁をつくる。辻監督は昨年から幼児の指導を始めた。これまでは小学1年生がチーム最年少だったが、今は年中の園児が在籍している。

「小学1年生から入った選手は、体の使い方や戦術を理解する4年生くらいから急速に成長します。6年生になると私が練習で教えたり、試合でサインを出したりしなくても、選手たちは体が勝手に動いている状態です。もし、年中から野球を始めた子が小学4年生になった時に今の6年生と同じレベルに達したら、どんな選手になるのか。未知の世界を想像するとワクワクします」

 辻監督が頭に描くのは「2年前倒しの指導」。今の小学6年生が到達する“多賀野球の完成形”を、小学4年生で作り上げたいと考えている。

「幼児を受け入れている少年野球チームはありますが、野球の楽しみを教えるのが目的で育成はできていません。私は野球の楽しさを伝えながら、子どもたちに知識や技術を教えていきたいと思っています。もちろん、幼児や小学校低学年が理解するのは難しい部分もありますが、これまでにない方法が見つかるかもしれません」

専用グラウンドの少ない首都圏で「楽しさと強さの両立」実現できる?

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