143キロ“大会No.1中学生”を攻略 全国制覇の秘訣は「緩い球と豊富な打撃メニュー」
「遅い球を打てれば速い球に自然と対応」 上一色中・西尾監督の打撃理論
“中学生の甲子園”とも呼ばれている今夏の「全日本少年軟式野球大会」で、初優勝を飾った東京・上一色中は、打撃練習に重点を置いている。大会でも初戦で最速143キロ右腕を攻略。チームを率いる西尾弘幸監督は、緩い球を打つ練習やバリエーション豊富なメニューで打力を高めている。
8月に開催された大会では、初戦の聖心ウルスラ学園聡明中(九州代表・宮崎)戦で、大会ナンバーワン投手との呼び声が高かった最速143キロ右腕・森陽樹投手(3年)から本塁打を記録するなど4点を奪った。西尾監督は、普段から打撃練習に時間を割いていると話す。
「以前は練習の8割近くが打撃でした。しかし、バッテリーの育成と守備力アップがなければ試合には勝てません。今は守備の練習時間を確保しながら、打撃で結果を出すためにボールを打つ練習にも時間をかけています」
今大会では球速の速い投手を打ち崩しているが、西尾監督は80キロ前後の緩い球を打つ練習を大切にしている。遅い球を打てるようになると、自然と速い球にも対応できるようになるという。
「遅い球を打つ練習をしているのは、間やタイミングを取る感覚を身に付けるためです。ウルスラ学園の森投手対策では、対戦の2週間前から速い球を打つ練習を取り入れましたが、遅い球を正しく打てるようになれば、中学生で速いと言われる130キロくらいの球は十分に対応できます」