兼任監督2年目、BC福島・岩村明憲監督のモットー「一を聞いて十を知る」
「野球はやっぱり二手三手先のことを考えていかないと…」
――なるほど。その他にも、チームを指揮する上で意識することはありますか?
「うちのモットーは『一を聞いて十を知る』なんですよ。何でかっていうと、今の子たちって、七を聞いてやっと十を知れるかどうか。一じゃなくて七聞かないと分からないんだよ。過保護と言ったら言い過ぎかもしれないけど、近いものはある。昔はヒントしか与えられなかったのに、今はすべてのインフォメーションを与えてしまう。ある程度の答えを教えた後で、本回答を求めている感じ。でも、野球はそれじゃダメだって。野球はやっぱり二手三手先のことを考えていかないと『お前そんなのも分からないの?』って言われるから」
――確かに、与えられる情報が多いと、自分で考えなくなりますね。
「頭でっかちになるから、すぐ屁理屈ばっかり言って、イラッとするんだよ(笑)。だから、選手には『一を聞いて十を知りなさい。空気を察しなさい。できる選手は空気が読めるぞ』って話をしている。耳にタコができるくらい言ってるから、俺が『できる選手は?』って言うと、選手は『空気が読めます!』って答えるんだよ。
もう1つある。守備練習の時に、選手がノックの球をグラブの土手に当てて弾くことがあるでしょ。もしグラブを弾かないで、かすめもしなかったら仕方ない。だけど、グラブに当てたら、取れる可能性はある。最後は自分のさじ加減なんだから、ノックをしながら『絶対に取らんかいっ!』って言い続けてたの。だから、今では俺が『グラブに当てたら?』って聞くと、選手は『はい、絶対捕ります!』って合い言葉みたいになった(笑)。この2つはかなり浸透したね。
――(笑)、チームを指揮する上で、岩村さん流を確立しているところだと思いますが、これまで出会った監督を参考になさっている部分も多いと思います。その中でも、今季シカゴ・カブスを108年ぶりの世界一に導いたジョー・マドン監督との出会いは大きかったんじゃないですか?
「デカイですよ。ジョーの存在は」
(続く)
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count