少年野球で深刻な捕手の故障 投手に次ぐ負担にも関わらず、指導者の配慮不足も

投手捕手兼任の場合、投手、捕手単独の選手よりも肩肘の障害を負う危険性は高い

 投手は体全体を使ってボールを投げるが、捕手の場合、上半身や腕だけでボールを投げることが多い。そのために肩肘に負担がかかりやすい。こうしたフォームの問題も大きい。さらに、捕手の中には投手と掛け持ちをしている場合がある。投手の球数がかさむと試合中にポジションを交換して捕手がマウンドに上がるケースがみられる。この場合、捕手としてすでに肩肘に負担がかかったうえに、投手としてさらに投げるために、故障のリスクは高まる。

 全日本軟式野球連盟は2019年8月18日、学童軟式野球最大の大会である「マクドナルド杯」の会場で、参加854選手の肩肘検診を行った。小学校5、6年生について調査したポジション別の肩肘検診の結果は以下の通り。

○肩肘痛経験あり
内外野手38.5% 捕手55% 投手52.7% 投手捕手兼任63.8%

○肩肘障害歴(形態異常+剥離骨折+OCD)あり
内外野手56.1% 捕手75% 投手79.5% 投手捕手兼任80%

 投手捕手兼任の選手は、投手、捕手単独の選手よりも肩肘の障害を負う危険性はより高くなるのだ。このため、団体や大会によっては試合中の投手捕手のポジションの交換を禁止するケースも出てきている。

 捕手というポジションは、体が出来上がった高校以上で本格的に研鑽を積むべきポジションだといえる。小中学校のレベルで、大人と同じようなプレーを身に着ける必要性は低い。キャッチングや打球の処理、一塁のカバーリングなど、基本的な技術を高めるレベルにとどめるべきだろう。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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