元阪神・的場氏と元ロッテ・内氏が育成現場に新風「野球指導は一方通行が多い」

現役時代は阪神、トヨタ自動車で活躍した的場氏(左)とロッテ一筋17年の現役生活を終え、指導者として歩み出した内氏【写真:荒川祐史】
現役時代は阪神、トヨタ自動車で活躍した的場氏(左)とロッテ一筋17年の現役生活を終え、指導者として歩み出した内氏【写真:荒川祐史】

「BUベースボールアカデミー戸田校」で的場氏が打撃や守備、内氏が投球の指導を担当

 的場氏も子どもの頃は「(練習を)やらされるとか、怒鳴られるとか、指導者の気分で怒られるとか。ずっとそれを疑問に思っていました」という。自身はある日、練習途中で「走ってこい!」と怒鳴られ、そのまま家に帰ってしまった気骨の持ち主だ。だが中には、言われるがままに投げ続けて肩肘を壊したり、理不尽さに耐えられず野球を離れたりする友人もいた。自身も目指した甲子園だが、大人になってから見ると「子どもにとって、選手にとって、本当にいいことなのか」と疑問を抱くこともあった。「僕らが球界の課題を解決することはできないと思いますけど、発信しながら意識付けを広めていけたらと思います」と話す。

 小学生と中学生を対象とする「BUベースボールアカデミー戸田校」では、的場氏が打撃や守備、内氏が投球の指導を担当するが、スキル指導以上に対人間力アップを狙う。また、体の成長に即した無理のない体の動きを目指すため、ストレングス・コンディショニング(S&C)コーチとして専門的な知識を持つ鈴木進介氏と寺中雄希氏が参加するほか、自習室も設けられ、文武両道をサポートする環境を提供する予定だ。

 マルチスポーツアカデミーでもある「BU」の特徴を生かし、子どもたちには野球に限らず、いろいろな競技や動きを体験させる予定だ。中学時代は2年間、バスケットボール部に所属していたという内氏は「野球だけをやり続けるのではなく、いろいろなスポーツをやってみるのはいいこと。経験して、その上で野球を選んでくれたらうれしい」と想いを語る。的場氏は「小さい頃からいろいろな動きをさせた方が怪我の発症率が下がるという研究がある」と指摘。S&Cコーチの寺中氏も「いろいろな競技をすることで、野球に関連付けられる動作を学ぶことができる」と、他競技へのチャレンジも積極的にサポートするつもりだ。

 アカデミーの鍵となるのは子どもたちの笑顔だが、その過程では何かに対して真剣に取り組む楽しさを伝えていきたい。的場氏は「ゲーム性を持たせた練習の中で勝って喜んで、負けて悔しがって、そして次にどう対応するかを考える。僕らも失敗と成功を繰り返して競技力を伸ばしてきたと思うので」と説明。たとえ失敗しても「挑戦したことを褒めて、次もまたトライしようという気持ちに繋げる。次に繋がる環境を作ってあげたい」とビジョンを語った。

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