タイミングを崩されても対応できる!? 野球のプレーの質を上げる「リズムトレ」とは
怪我のリスク低下にも一役…日本臨床整形外科学会の推薦トレ
リズムトレーニングの注目度が高まっているのは、怪我の予防につながると言われていることも大きな理由だ。体がより多くの動きを覚え、想定外の事態にも体が反応する力が上がれば、怪我のリスクを下げられる。日本臨床整形外科学会が推薦するトレーニングにも入っている。
運動能力の向上を目的としているため、特定の競技だけではなく、あらゆるスポーツで取り入れられるのも特徴。実際、渡辺さんは子どもの頃からサッカーをしていて、野球は未経験。リズムトレーニングのインストラクターとして活動する前は、神奈川県の中学校でサッカー部の顧問を務める教師だった。
約6年前、練習試合の相手がウォーミングアップに導入していたことから、初めてリズムトレーニングを知った。渡辺さんは、すぐに自分のチームの練習メニューに加え、正確な知識や指導を身に付けるために資格を取得した。
「ウォーミングアップの動きにリズムをつけると、スムーズに体を動かせる選手と動かせない選手に差が生まれました。そこには力を抜くとか出すとかが関係していて、その差がパフォーマンスの差と関連していたので、本格的にリズムトレーニングを学んでチームで継続的に取り組もうと思いました」
リズムトレーニングを導入してから2年後、チームは県大会出場を決めた。渡辺さんは、選手たちに動きのしなやかさや俊敏性を感じていた。元々、県大会出場を目標にする学校ではなかっただけに「リズムトレーニングだけが理由ではないですが、選手にプラスになるトレーニングだと感じました。これまでに見たことがないリズムや動きからシュートをする選手もいました」と効果を実感した。
野球とは無関係に思えるリズムトレーニング。だが、動きのバリエーションを増やし、タイミングを外されても対応できる力が身に付けば、パフォーマンスアップと怪我の予防が期待できる。