大柄な子は肩や肘への負担も大きい? 成長期の選手たちが示す“疲労のサイン”

成長期の選手は疲れてくると手投げになる

 その負担というのは肩関節内旋トルクと肘関節内反トルクと呼ばれるもので、肩関節内旋トルクはトップポジションからリリースまでの間に肩にかかる負担と解釈してもらえればよいと思います。肘関節内反トルクは肘の内側にかかる負担です。

 紹介した研究では1〜5球目、34〜38球目、71〜75球目の投球データをそれぞれ解析して比較も行っています。投球を繰り返すことによって、腕が遅れて出るようになり(体の開きが早くなり)、肘の曲がりが浅くなっていました。連続投球によってだんだんと手投げになっていくようなイメージです。

 先ほどの肘関節内反トルクは投球数が増えても変化しませんでしたが、肩関節内旋トルクは投球数の増加にともなって増えており、そのトルクは成長期の骨端線(成長軟骨)の剪断(断ち切ること)強度を超える数値であったそうです。腕の骨(上腕骨)の骨端線障害に上腕骨近位骨端線離開(別名:リトルリーガーズショルダー)という病気があります。この研究データから考えると、上腕骨近位骨端線離開は投げすぎと関連があるのかもしれません。

 今回の研究結果からは、BMIが高い選手では肩・肘の負担が大きくなるようだということが分かります。9歳と10歳の学童期の選手は疲れてくると手投げになるということも分かりました。また、投球数が増えてくると肩の骨端線(成長軟骨)に負担がかかります。指導に関わる私たちはこの結果を理解し、選手の成長に応じた対策を取り、選手の疲労のサインをキャッチしてあげましょう。

▼参考文献
※1 Darke JD et al. Effects of Game Pitch Count and Body Mass Index on Pitching Biomechanics in 9- to 10-Year-Old Baseball Athletes. Orthop J Sports Med. 2018, 6(4):2325967118765655

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(Full-Count編集部)

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