柔軟性を改善し、跳躍力もアップ? ひとりでできる「筋膜リリース」の方法と効果

フォームローラーの使ったトレーニングを解説【写真提供:慶友整形外科病院リハビリテーション科】
フォームローラーの使ったトレーニングを解説【写真提供:慶友整形外科病院リハビリテーション科】

筋膜の滑りや動きが悪くなると、痛みの原因になることも

 肘内側側副靱帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)の権威である慶友整形外科病院スポーツ医学センター長の古島弘三医師は、野球上達への“近道”は「怪我をしないこと」だと語ります。練習での投球数を入力することで肩や肘の故障リスクが自動的に算出されるアプリ「スポメド」を監修するなど、育成年代の障害予防に力を注ぎ続けてきました。

 では、成長期の選手たちが故障をせず、さらに球速や飛距離を上げていくために重要なのはどのようなことなのでしょうか。この連載では、慶友整形外科病院リハビリテーション科の理学療法士たちが、実際の研究に基づいたデータも交えながら、怪我をしない体作りのコツを紹介していきます。今回の担当は小林凌さんと貝沼雄太さん。テーマは「フォームローラーによる筋膜リリース」です。

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 近年、筋膜リリースという言葉が取り上げられることが多くなり、聞いたことがある方もいると思います。筋膜とは筋肉を覆っている膜のこと。筋膜同士がくっついて滑りや動きが悪くなったりすると痛みの原因になったり、筋肉の柔軟性が悪くなる原因になったりします。

 フォームローラーはその筋膜の不具合を自分で治すことができる道具のこと。フォームローラーに体の部位を当てて、自分の体重を使って転がすことで筋膜などにマッサージ効果をもたらし、柔軟性や関節可動域(関節の動く範囲)が向上します。

 今回はフォームローラーを使用した研究を紹介します(※1)。この研究では20~27歳の女性を対象とし、ハムストリングス(太もも裏の筋肉)にフォームローラーを使用して、柔軟性と筋力を測定。その結果は、フォームローラーの使用後に柔軟性は改善し、筋力はほとんど変化しないというものでした。この研究から分かるのは、フォームローラーによって筋力の低下を伴わずに柔軟性の改善が期待できるということです。自宅で行うコンディショニングに使用するのはもちろんのこと、運動前にダイナミック(動的)ストレッチと組み合わせて行うとより効果的であるとも考えられています。

フォームローラーの使用で跳躍力などのパフォーマンスが向上

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