1年半で球速40キロもアップ “非エリート”の中学硬式チームが豹変したワケ

選手の能力を引き出す体の使い方とトレーニング指導

 結果は決して偶然ではない。チーム一期生の中学2年生は急成長している。小学生の時は最高球速が80キロだった投手は今、120キロを計測する。クリーンアップに座る選手たちは本塁打を放つパワーと技術を身に付けた。

 なぜ、エリートではない選手たちが、わずか1年半でパフォーマンスを劇的に伸ばせたのか。竹下さんは「トレーニングへの考え方と体の使い方が他のチームにはない特徴です。昨今の野球はフィジカルの重要性が増していると思います」と明かす。

 パーソナルトレーニングジムを運営する強みを生かし、チームではフィジカルの強化に重点を置く。練習は火曜と金曜がオフ。木曜の夕方と土曜は通常練習で、日曜は試合という日程がベースになっている。特徴的なのは月曜と水曜。月曜はオンラインでストレッチや体のケアをして、水曜はウエートトレーニングに充てる。トレーニングは中学1年の秋までは自分の体重を利用して負荷をかけ、その後は選手の体格に合わせて本格的なメニューに入っていく。竹下さんは、こう説明する。

「私も監督もパーソナルトレーナーですし、他のスタッフも含めてプロのトレーナーが選手を指導しています。月曜は怪我を防ぐ体づくりやケアをしています。試合は週末だけですが、1週間のサイクルはプロ野球選手に近いと思います」

 野球のパフォーマンスアップに必要な筋力や柔軟性を身に付けると同時に、怪我を予防する。竹下さんは「1年前に負けたチームの選手と比べると、うちの選手の方が圧倒的に大きくなっています。試合に勝てるようになったのはフィジカルの強化が大きな要因だと考えています」と分析する。

 そして、強化した体を打撃や投球に生かせるよう、選手の特徴にあった指導をしている。例えば、打者にはソフトバンクの柳田悠岐外野手のように背筋を生かしてスイングするタイプと、3度の三冠王を獲得した落合博満さんに代表される懐を使って打つタイプがいるという。体の軸も右足と左足、どちらにあるかによって効果的な体の使い方は変わってくる。

「周囲の人から選手の伸び率が高いと言ってもらえるのは、選手に合った指導をしているからだと思います。トレーナーの視点から選手の伸びしろと改善が必要な部分を総合的に判断して予測ができます。体を無理なく自然に動かすので怪我のリスクも抑えられます」

合同練習や日々の会話 “非エリート”の意欲や向上心を高める工夫

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