話を聞かない選手を決して怒らぬワケ 異色の指導者が米国で学んだ“本当の自由”

野球塾を運営する長坂秀樹さん【写真:伊藤賢汰】
野球塾を運営する長坂秀樹さん【写真:伊藤賢汰】

米国の独立リーグでプレーした長坂秀樹氏「話を聞かないのも子どもの自由」

 自由は決して楽ではない。長野・東海大三(現・東海大諏訪)のエースとして甲子園に出場し、現在は神奈川県藤沢市で野球塾を開いている長坂秀樹さんは、米国の独立リーグでプレーしていた時に自由の怖さを知った。現役引退後に指導者となり、中学時代の中日・小笠原慎之介投手に投球フォームや体作りを指導。少年野球の子どもたちに自由の意味を伝えている。

 長坂さんの野球塾は主に小、中学生を対象にしている。選手を集めて練習内容を説明している時、話を聞いていない選手がいても決して怒らない。

「話を聞くのも、聞かないのも自由です。話を聞かずに上手くできなかった時には、自分に結果が跳ね返ってくるだけですから」

 野球塾開講から11年目を迎えた。選手の様子を見れば、話を聞こうとしているのか分かる。内容を理解せずに練習していたとしても、再び説明したり、助けたりはしない。優しさと甘さは違う。甘えは選手のためにならないと考えているからだ。

「大人が手を差し伸べると、子どもは成長しません。恥をかいたり、後悔したりすることで学びます。話を聞いていなかった場合は、理解している人に聞いたり、真似をしたりすればいいんです」

米国の独立リーグ3年目に衝撃の出来事 自由の怖さを痛感

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