ブルペンは10球、遠投はワンバン、シャドーは“禁止” 少年野球日本一チームの育成法
投球の15%はスローボール、普段の練習から肩や肘の故障防止を徹底
大会に出場するチームの宿泊費などを考慮し、マクドナルド・トーナメントは連戦を避けられない日程となっている。大会を主催する全日本軟式野球連盟は、投手の怪我を防ぐために1試合の球数を70球に制限している。中条ブルーインパルスは同じ球数でも、より肩や肘への負担を軽くする目的で、投球の15%ほどをスローボールにしていた。故障を予防する意識は普段の練習から徹底しているという。
「最初は柔らかい球で体の使い方を覚えさせます。子どもたちは遠くに投げたい願望を持っているので、いきなり軟式のような重い球を使うと肩や肘に負担がかかり、肘が下がってきます。怪我を予防する基本は徹底して、それ以外は自由な投げ方でやらせています」
中条ブルーインパルスでは、投げ方の基本として主に2つの点を子どもたちに伝えている。球の握り方と手首の使い方だ。尾崎代表がポイントを説明する。
「握り方は主に冬場のトレーニングで強化しています。球の縫い目に人差し指と中指をしっかりかけることが大切です。より球に力を伝えるだけではなく、力を逃がさないことで肩や肘への負担を減らせます。もう1つのポイントは、投げる相手に手の甲を見せないようにして、体をひねって投げることです。できるだけ無駄なく球に力を伝えて、真っすぐ投げられる体の使い方を覚えさせています」
中条ブルーインパルスは土日が主に練習試合や公式戦になるため、週3回の平日練習が個々の技術を伸ばす時間となる。練習時間は1時間ほどで、メニューは他のチームと大きく変わらない。ただ、尾崎代表は「キャッチボールでは全選手が投手の練習をしています」と話す。
「子どもたちの故障を防ぐには、継投が不可欠です。うちのチームには、肩や肘を怪我した選手はいません。キャッチボールでは選手が交互に座って捕手役をして、ストライクを取る練習をします。投球フォームやクイックといった専門的な話ではなく、遊びの延長です。楽しみながらストライクを投げる感覚を身に付ける狙いがあります」